日本人の幸福感は収入より自己決定度で決まる

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現代ビジネスより
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(文・西村 和雄,八木 匡)

自分で人生の選択をすることが、日本人の幸福感を高めている――今夏、日本における幸福感の研究結果が大きな話題を呼んだ。具体的にどのようなものだったのか? 共同研究をおこなった西村和雄・神戸大学特命教授と八木匡・同志社大学教授がここに書き綴る。

2万人データを分析した幸福感研究

我々は、2万人の日本人のデータから、幸福感に影響する要因の分析を行った(西村・八木(2018))。
幸福感に関する研究は、従来から経済学や心理学において数多く存在する。

ギリシャの哲学者アリストテレスは,幸福を人生の究極の目標ととらえていたし、最近ではフランスのサルコジ大統領が設置した委員会(CMEPSP)が、幸福度計測指標 についての報告書を出すなど、幸福感の測定に力を入れる国も出てきた。
幸福感とは古くて新しいテーマである。

背景には、1970年前後から、所得水準と幸福度の値が必ずしも相関しないことが指摘され、心理学や経済学の分野で、幸福度研究が注目を浴びてきたことがある。

特に、イースタリン(1974)による実証結果は、「イースタリン・パラドックス」と呼ばれて、多くの研究者が、幸福感を構成する要因を分析するきっかけとなった。

2012年4月に始まった、国連による世界幸福度報告書は、150以上の国や地域を対象とした、主観的な幸福度の調査報告書である。

報告書では、回帰分析を用いて、幸福度に対する6つの説明変数のそれぞれの寄与を求めている。

説明変数は、(1)一人あたりGDP、(2)社会的支援、(3)健康寿命、(4)人生の選択の自由、(5)寛容さ、(6)汚職の認識である。

この調査におけるそれぞれの国の幸福度は、個人が自分の幸福度が0から10のどの段階にあるかを答えた回答の数値の平均値である。

2018年の幸福度のランキング1位はフィンランドであった。2位はノルウェー、次いでデンマーク、アイスランド、スイスである。アメリカは18位、日本は54位であった。

この報告書の幸福度の国際ランキングを見ると、一人当たりGDPの値と幸福度が相関せず、「イースタリン・パラドックス」が成り立っているように見える。

■幸福度と自己決定

我々は、オックスフォード式の心理幸福度を測る質問によって幸福感を測定し、所得、学歴、自己決定、健康、人間関係の5つを説明変数とした。

同時に、回答者に0から10の数値で幸福感のレベルを答えてもらい、主観的幸福度も測定している。

幸福度として、心理幸福度あるいは主観的幸福度のいずれを使っても、結果に本質的な違いはなかった。

自己決定は、モチベーションを高め、満足感に影響することが、心理学者デシとライアンによって、指摘されている。

本研究では、進学や就職といった人生における選択における自己決定の度合いをたずねて、実際に、幸福度に影響しているかを調べた。

具体的には、「中学から高校への進学」、「高校から大学への進学」、「初めての就職」の自己決定に関する質問の回答から、自己決定の度合いを表す指標を作成し、それを自己決定指標とした。

調査結果:所得や学歴よりも「自己決定」

我々の調査で用いたデータで、主観的幸福感の度合いを年齢別グラフにすると、中年期に落ち込む「U字型曲線」を描き、35~49歳で主観的幸福感は下がることが分った。

異なる国のデータを比較した場合、より高い所得が必ずしもより高い幸福感をもたらしていないというのが「イースタリン・パラドックス」である。

我々は、日本のデータを用いて、一国内での所得と主観的幸福度の変化率の比(弾力性)を調べてみたところ、所得が増加するにつれて、主観的幸福度が増加するが、所得の増加率ほどには主観的幸福感は増加せず、その変化率の比も1100万円で最大となった。

最後に、健康と人間関係以外の要因の影響力を比較した。大学の入学難易度を考慮した学歴も調べてみたが、主観的幸福感への影響は統計的に有意ではなかった。

世帯年収額と自己決定指標は、ともに主観的幸福感に対して有意に正の効果を持っている。

図で示されているように、自己決定は所得や学歴よりも強い影響を持っている。自分で人生の選択をすることが、選んだ行動の動機付けと満足度を高める、それが幸福感を高めているのであろう。

匿名希望
Source: 心が、どんどん壊されてゆく

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